「101回目のプロポーズ」と言えば、「僕は死にません!」と武田鉄矢が叫ぶ日本のドラマを連想する人がほとんどだと思いますが、そのドラマではなく、中国で製作されたリメイク映画版についてになります。
日本でも名が知られている女優リン・チーリン主演の作品です。
リメイクとは言うものの、実質的にはほぼオリジナル作品と言っていいと思います。
原作の名シーンをアレンジして物語の中にうまく溶け込ませつつ、しがないリフォーム業者の親方でこれまで99回のお見合いに失敗し続けているホアン・ダーと、人気チェロ奏者であり、結婚式の当日に婚約者を事故で亡くしてしまうという悲しい過去を背負った女性イエ・シュンという、格差の歴然とした2人が繰り広げる。
爽やかな、それでいて深い愛に包まれた関係性を2時間でしっかりと描いていきます。
さらに言うと、実はドラマ版とは地続きになっている物語なのです。
ドラマ版の主人公、武田鉄矢演じる星野達郎がそのままの役どころで登場するというサプライズがあり、ドラマ版のファンにはたまらない展開となっています。
達郎の奥さん、薫はシュンのチェロの師匠という設定です。
ドラマで薫を演じていた浅野温子は残念ながら映画には登場しませんが、彼らは20年後も夫婦として仲睦まじく過ごしていることがわかるだけでも、充分ほっこりします。
また、ドラマ版はコメディの要素も強く、時代性も相まってかなりドギツいやりとりが劇中展開していました。
また、達郎と薫はお世辞にも性格が良いとは言えません。
マジメではあるけれどお調子者で小市民の達郎と、才能はあるけれど興味のない人間にはとことん冷淡で、容姿端麗でなければ、誰が惚れるんだろう?という位の性格をした薫です。
ここはドラマと映画で一番異なるところなのですが、とにかく映画版の主人公2人は性格が良いです!
ホアン・ダーは人の悪口を言ったりは決してしない、誠実を絵に描いたような男性ですし、シュンは自分の才能に溺れることなく、時に優しく、時に厳しく人に接しています。
偶然のきっかけで出会い、最初は情けない男だと思っていたけれど、すべてにおいてウソのない、真っ直ぐなホアン・ダーにシュンは少しずつ惹かれていきます。
その気持ちはやがて、悲しい過去をも洗い流すほどに大きくなっていくのです。
「ピュア」を体現したかのようなラブストーリー、101回目のプロポーズ。
なかなか日本での知名度は低いように思いますが、爽やかな恋愛映画を見たい方にはオススメの一作です。